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SaaSで活躍のプロダクトマーケティングマネージャー(PMM)とは

近年拡大しているSaaSにおいて注目されている「プロダクトマーケティングマネージャー(PMM )」。具体的には、どのような業務をおこなうのでしょうか。本記事では、「プロダクトマネージャー(PM )」との違いに触れながら、その役割や必要なスキルについて解説します。

プロダクトマーケティングマネージャー(PMM)とはなにか

「プロダクトマーケティングマネージャー(以下、PMM )」とは、現在SaaSを展開する企業などにおいてマーケティングを統括する職種です。ここでいう「マーケティング」とは、サービスを作り上げ、顧客に継続的に利用してもらうまでのプロセスに必要な仕事のすべてを指します。つまり、企画やセールスから導入後のカスタマーサクセスなどを含めて統括する役割を担います。

近年、サブスクリプションビジネスやSaaSが注目され、「継続性」の観点から、顧客の声に直接耳を傾け、要望などに対応しながら顧客満足度を上げる「カスタマーサクセス」が重視されています。そして今、顧客に働きかけると共に、より全体最適化されたサービスの開発や運用を推進していくために、開発やサポート部門との密接な連携を図るPMMが注目されるようになっています。

プロダクトマーケティングマネージャー(PMM)の役割

次に、PMMの役割について具体的に解説していきます。統括する領域は、大きく「マーケティング」「セールス」「カスタマーサクセス」の3つです。

SaaSプロダクトのマーケティング

SaaSプロダクトにおけるマーケティングの業務は、マーケティングの計画策定が最も重要です。その前提で業務を細分化すると、
  • ユーザーリサーチ(ターゲット層からの情報収集など)
  • ペルソナ作成(収集したデータや既存のデータを解析し、顧客像を設定)
  • 市場投入計画(サービスや製品の価格設定をはじめ、多岐にわたる)
  • ローンチ計画(デモ、資料などの各種コンテンツ作成をはじめ、多岐にわたる)
の4つがあげられます。 大まかにいえば、そのプロダクトがどのような顧客に対して、どのような価値を提供するかを定め、ターゲットとする顧客に対してどのようにプロダクトを届けるか計画することです。当然、価格設定以外にもプロモーションの計画や予算設定なども含まれてきますし、ローンチまでの計画はもちろん、どのように市場に浸透させていくか、ローンチ後も見据えた計画となります。

SaaSプロダクトのセールス

マーケティングでプロダクトを浸透させていく計画が定まれば、実際にセールスしていくことになります。その業務としては、顧客に興味を持ってもらえるよう、デモを実施したり、プロダクトに関する資料を作成したりします。また、SaaSは継続的にサービスを利用してもらうケースが多く、顧客に関する効果検証も重要です。そのため、顧客ニーズの検証や、導入後の定着率の検証・改善のほか、営業全体の効果検証を通して、営業戦略の練り直しなどを実施します。このように、PMMは、セールス領域においても営業メンバーが活動しやすいように、全体的な業務を担っています。

SaaSプロダクトのカスタマーサクセス

マーケティングとセールスは、基本的に新規の顧客獲得に関する業務です。カスタマーサクセスはこれらと性質が異なり、顧客のサービス利用継続率を高める目的で、いわゆる「リテンションマーケティング」に分類されます。
この領域において、PMMが担うべき役割は、カスタマーサクセスを遂行する体制の構築です。チャットや電話などさまざまな対応方法はありますが、多くの顧客に対応していく必要があることから、生産性を高めつつ、顧客満足度も高まるような体制の構築、舵取りが求められます。

プロダクトマーケティングマネージャー(PMM)とプロダクトマネージャー(PM)の違い

次に、PMM「プロダクトマネージャー(以下、PM )」の違いについて解説します。 一言でいってしまうと、カバーする業務領域が異なります。PMMが広がるまでは、PMがプロダクトの開発からそのマーケティングまでを兼務していたのが実情です。プロダクトそのものに対して、最終的に責任を負うのもPMです。しかし、PMMという役割ができたことで、PMはシステムの開発やデザイン、カスタマーサポートなどプロダクトの開発部門に専念できるようになり、そのプロダクトのマーケティング(セールス・カスタマーサービス)に関してはPMMに任せられるようになりました。
このように、役割分担が可能になったと捉えると分かりやすくなります。そして、元々は1人が行っていた役割のため、PMM、PMの両者は密に連携していくことが重要になります。

プロダクトマーケティングマネージャー(PMM)が持つべきスキル

最後に、PMMが身につけておくとよいスキルについて解説します。

リサーチ・分析スキル

まずは、マーケティングのなかでも上流工程にあたるリサーチや分析のスキルが求められます。そのサービスがどんなところに潜在的・顕在的なチャンスがあるのかを見定める必要があるからです。変化の激しい現代において、精度の高いリサーチや仮説構築の難易度は上がっていますが、リサーチをしっかりと実施しておくことで、ローンチ後の軌道修正などもしやすくなります。
また、マーケティングのさまざまな施策について高速でPDCAを回していくことがポイントになるため、分析スキルが重要です。数字をベースにしながら、さまざまな要素が複合的に絡み合うなかで、効果的な施策を見極め、マーケティング効果を最大化させるには、高度な分析スキルが欠かせません。

マーケティングスキル

当然、マーケティングのスキルも必要です。リサーチ・分析した結果をもとに、ターゲットの心をがっちり掴むようなコピーライティングのスキル、それを視覚的に訴求するクリエイティブスキルなど、マーケター的な思考が必須です。創造的な発想と、ロジカルな思考の両面をバランスよく身につけると、マーケターとしての力を発揮できるでしょう。

ユーザー理解やヒアリングスキル

PMMとして、顧客のニーズを外さないために顧客を理解あるいは洞察するスキル、そしてヒアリングするスキルも必要になります。これはどの局面においても重要で、顧客の新規獲得に向けたセールス時、および継続的な利用を促すカスタマーサクセスに落とし込む際に、これらのスキルが威力を発揮します。

まとめ

PMMの役割やスキル、PMとの違いについて解説してきました。PMMとして活躍するには、マーケティングの基本スキルはもちろんのこと、各部門を統括していくためのマネジメントスキルも必要です。今後も成長が見込まれるSaaS市場において、セールス・マーケティングに特化した役割として重要性が増していくことでしょう。